ツキステ沼の自己分析。
そもそもツキウタ。とは
ざっくりと。知ってる方は飛ばしてください。
男女それぞれ12人(グループとしては6人組なので男女4つのアイドルグループがあります)のキャラクターによるアイドルものCDシリーズ(楽曲とドラマ)。ただそれだけ聞くと、皆さん、最近2次元アイドルもの多いよね〜ってなると思うのですが、ツキウタ。の特徴として面白いのは多分二つ。
- 各キャラクターの楽曲をボカロPとしてニコ動などで有名な新進気鋭のクリエイターたちが制作。しかもキャラクターごとにプロデューサー(作詞作曲者、以下P)が固定なので(12人のキャラクターに12人のPがいます)、このキャラはこういう雰囲気の曲という色があるのが面白いです。2次元で好きなキャラクターを決めるとき、見た目、声優さん、キャラの設定や性格っていうのはもちろんあると思いますが、ツキウタ。は曲(及びP)という選択肢もあるかと思います。
- 各キャラクターは「月」をイメージした男女それぞれ12人。ここでは男子側だけで説明しますが、まず名字が全員月の日本名なのです。「睦月くん」とか「師走くん」というキャラ設定。最初は「月の擬人化?なんで??」と思ったものですが、これが「CD」が原作である、このコンテンツにすごく適している。例えば8月担当の葉月くんは夏男!!って感じでぱっと見からチャラく、楽曲もパリピな印象(もちろんそれだけじゃないですが)。2月担当の如月恋くんは名が体を表してますけど、髪の毛もピンクで楽曲もラブを歌ってまさにバレンタインの化身のようなオシャレ可愛い男の子。各キャラのテーマが明確なので、楽曲、ドラマ、ビジュアルの制作者は違いますが、イメージがしっかり統一されています。
さらに付け足すとすれば、アイドルもののジャンルに多い「乙女ゲー(恋愛もの)起源」ではないので、その中心には女子がいません。
私は「乙女ゲー」がNGというわけではないけども、ハーレム化、総愛され展開は苦手なので、これは本当にありがたいです。*1
ツキウタ。のストーリーは10代〜20そこそこのアイドルの可愛い日常がメイン。大きな大事件やラブ!スリル!ショック!サスペンス!!は一つもありません。
アイドルっぽい男の子たちの仲良しワチャワチャが見れて、しかもこの子たちは未成年飲酒、喫煙、突然の脱退はしないし、彼らと繋がっていると匂わせてくる頭の悪い女もいない世界ですよ!!!!!!
さて、それでは元々、舞台とリアルアイドルが好きな私が、ちょっと二次元楽しいな〜とツキウタ。にハマったと思ったら、そこからまさかの沼に転げ落ちたという話をします。
ツキステ。(2.5次元ダンスライブツキウタ。ステージ)
最初に、舞台観劇が趣味な人間がそれ言っちゃうって思われるかもしれない根本的なことを言います。
ツキステ。は脚本が原作者(ムービックの方)なので、劇場の舞台脚本の文法からすると色々間違ってるというか、おかしいと思う部分も多い。
ですから、もしかしたらキャストの元からのファンの芝居好きな人の中には、推しがツキステ。に関わることを好ましく思ってないかもしれないと若干心配はしています。*2
2016春に行われた第1幕:芝居パート
そもそも私はツキステ。にハマったと言っても本格的にハマったのは夏のサマーライブ(上映会)からなので、1幕については春の舞台に通った友人からものすごくおすすめされた上で、映像を見て、Blu-rayを購入してという流れになります。
お芝居パートは、原作ファンになじみのあるドラマCDやTwitterのssの雰囲気をそのままにしたインプロ(即興劇)みたいなだなというのが最初の印象です。
これは演劇なのかなって違和感よりも、なんだか新しいぞ…しかも、脚本自体も原作のどこからか持ってきたものではなく、新作なのに、原作の空気感がすごいしって心がざわざわしたわけです。*3
そもそも私にとって2.5系の舞台といえば、私が知っている「演劇」とは、ちょっとした違和感があるためにどうにもハマれないという認識だったんですが、これはもう清々しいまでに違和感しかない。板の上に役者はいるし、演じてはいるけど、そこに舞台演劇という文法がないように思える。
これはもう別物だわ!!……と、開き直れてしまったのが沼の入り口でした。。
Blu-rayの特典映像(稽古場ダイジェスト)では、白のがまとまってて、黒のが大変だったという語り口になってますが、本編については個人的には黒の方が好きです。
黒のがストーリーは「誕生日会しよーぜ」ってだけで何もなく、白のほうが涙を軸としたストーリーになっているのですが、そんなに深刻な話にならないのがツキウタ。です。第1幕は芝居とライブパートを交互に行うこともあって、短いタームのお芝居の中で、それぞれのツアー初日までの日常が描かれています。
- 黒(Six Gravity、以下黒):ツアー初日がメンバーの一人、卯月新の誕生日がある。ツアーリハーサル中に、新以外のメンバーで、コンサートでサプライズバースデーをしようという話に!それぞれが渡す個別のプレゼントの予算はなんと1000円。5人はどんなものをプレゼントするのか…。
- 白(Procellarum、以下白):ツアーに向けてのリハーサル。ユニット曲やソロ曲などの振り付け練習が進む中、年少組の涙は相棒の郁とのデュエットナンバーのダンスに苦戦していた。自分が踊れないことで、郁の足を引っ張っていると感じる涙。そんな二人の様子を見守る年長、年中組たち…。
黒はもう芝居の中に明確な誕生日会というゴールはあるけど、その間に起承転結というほどの展開もなく、全部が日常コメディ。割り切って芝居を見るというより、それぞれの俳優さんたちが作るキャラクター造形とそれこそインプロのような会話劇を見るという感じになります。
長く深刻な話はないですが、本当にプレゼントをどうしようと悩む姿や買い物風景、寮の中でのメンバーのワチャワチャなど、非常に可愛いです。Blu-rayの稽古場映像では、黒の方が稽古期間が役者都合で短かったらしく、さらにキャラクターと俳優さんの年齢もこちらはバラバラなのですが、*4ステージでの彼らはびっくりするくらい個性豊かなグラビそのもので、小さなことに悩んだり喜んだりする姿もリアルアイドルでした。ちなみに、これは千秋楽を見て感じたことなので、初日とかはもしかしたら未完成だったのかもしれないです。
白については悩んでいるキャラクターがいるところからスタートなので、黒よりはドラマ性があります。ユニットとしては、稽古場映像でも語られている通り、キャラクターと実年齢の差が少なく、*5リーダーの一声でまとまっている。キャストさん達からは「プロセラは軍隊のよう」なんてたとえもありましたが、見ていても体育会系の熱い部活感がありました。
ただ白年少のダンスというメインテーマを設けたのに、その後すぐのシーンも順番に年中年長なシーンとすることで、話の軸があるのにぶれるようというか、あまりにも作り物めいていて、出番差ができてももっと自然な会話の流れが欲しかったです。
特に、私が個人的に気になったのは、コメディパートというか短いパートの一つに三人三人に分かれるパート。そこの分け方の問題で、ツキウサカフェ組、夜くんと白年少にしてしまったのは確かに最高に可愛いんですけど、芝居でも笑いでもない、可愛いだけの空間は原作の空気と言われればそうなのですが、もう一方の隼、海、陽の三人が秀逸なコントを見せるので、見ていてその差があまりにも気になってしまったのでした。
なお、本編は黒のが好みでしたが、前説代わりのツキラジや日替わりカーテンコールな度は、白のが平均的に面白く、白のメンバーの方が年長を軸にまとまりもあるし、内なる魂*6が優等生なんだろうなという印象でした。
第1幕:ダンスライブパート
すでに芝居部分だけでもこいつ沼ってるじゃないかと思われるかと思いますが、違いますよ。やっぱりツキステ。はダンスライブなしでは語れません。
私が2.5系の舞台の中でもミュージカルが苦手な理由の一つが、歌唱力が足りてないっていうのが悩みだったんですけど、ツキステ。はそれをまずすごい手段で解決しちゃったのです。
キャストが歌わない。(俳優さんは口パク)
そもそもツキウタ。の原作はCDなので、そこ(歌声)が原作ファンには一番大事なわけです。仮に役者が歌って、全然歌えてなかったら、他の2.5次元もの、アイドルものと比較してもお話にならないわけです。
役者が歌わないことについて、おそらくはキャストたちや俳優のファンの中には思うことがたくさんあると思うんです。*7
原作ファンの唯一、そして最大の拠り所である歌声をキープしつつ、その代りにアイドルものなのでダンスの質を上げて、さらにもともとミニドラマとTwitterで更新されるssだけが公式という、設定の豊富さに反して物語性の薄さを逆手に取った構成になっている。キャストたちはダンスとキャラクター作りに凄く真摯に取り組んでいるんだなというのがわかりますし、結果的にその精度がすごく高いものになっていると思います。
こちらは音を外した調子っぱずれの歌を聴くことはなく、さらに実際の若手メインの舞台のダンスとしてはかなりレベルの高いものが見れて、凄く満足度が高い。実際に観てしまうと口パクなんて気になりません。彼らからあの美しい、かっこいい楽曲が流れているように思える。(そもそもジャニーズのコンサートだって口パクry)
ああ、グラビ、プロセラは実在しているのかという多幸感に包まれます。。
余談ですけど、2次元アイドルものアニメなどは、人気になるとまず公式は声優さんにライブをさせることが多いですよね。2.5次元や実写の展開は嫌だけど、声優さんがイベントをしたりライブをしたりするのは喜ぶという人も見かけますが、それはそれでどっちも同じでしょって思ったりします。声優さんが画面の中のキャラクターを通して声を発するのは公式ですけど、声優さんはそのキャラクター本人ではないわけですから。
私は声優さんのライブが大成功するのはわかるし、ツキウタ。でもそれをやったら楽しいとは思うんですけど、じゃあ、私はその声優さんたちがライブで歌っても、絶対にそれを「本物のグラビだ!」「本物のプロセラだ!」とは思わないです。*8
要するに私はツキウタ。に声優のライブをそこまで求めてないです(歌声が好きなので嫌というわけではないんです。あったら行くかも。声優さんの生歌がどの程度なのか知りたいとは思う)。。
むしろゲームコーナーや朗読劇のあるイベントだったら行きたいなぁという感じ。
公式のじくさんの絵から飛び出してきたかのような見た目のアイドルたちが一生懸命汗をかきながら踊り、ファンサをして、聞こえて来る推しキャラのそのままの歌声。それがグラビでありプロセラだと思うので、この形式以上の二次元アイドルのライブはないんじゃないかなっていうのが私の感想であり、ツキステにハマった最大の理由かなとも思います。
もともとリアル三次元のアイドルのコンサートに行く自分からすれば、アイドルはキラキラした衣装を着て、全力で踊って、そして手を振り、ウインクをするものなのです。それを実現してくれたツキステ。
私はここに二次元アイドルの理想を見ました。。
特に、私はツキウタ。では12人全員好きなのですが、睦月始くんが最推しで、その他に葉月陽くんと皐月葵くんが好きです。*9
そして、私はそもそも、睦月始みたいな人は私の生きる次元に存在しない人だと思っていたのです。こんな完璧なスペックの王様だけど、愛情深くて、可愛らしい面を持つ人は現実にはいないだろうしだからこそ二次元の始さんは至高であると。
しかし、ツキステ。に始さんがいたんです。。
睦月始さんのように完璧にカッコよくて、落ち着いたトーンでお話ししてくれて、メンバーのやることに聖母かなっていう微笑みを見せ、完璧な美しさで踊り、そして歌声は鳥海ボイス。
観てるうちに、始役の校條くんのことも当然気になります。元々舞台や役者を応援する方が好きな性分ですので。。
顔面はものすごくカッコよくて、実はムツキくんのシーンに現れるような面白いことをしたい性格。だけど、あんなにかっこいいのに素ボケなところとかはやっぱりちょっと始さんに似ている。。
今現在、始役の校條くんのことが好きで役者の校條くんも推して行こうと思っているのですが、最初は校條くんが好きなのか始さんが好きなのかわからなくてしばらく考え、その判断材料にするためにもと、第二幕の「夢見草」を見る前に「アルカナ・ファミリア2」を観に行ったり、「月下燦然ノ星」の映画を観たり(そして舞台版のDVDも買う)して、結果的にこれはもう校條くんのことも好きだわとなっています。。
こうして、私は最推しキャラだった睦月始を演じる校條拳太朗くんにも魅入られたわけです。
そして、これは個人的な印象なのですが、第1幕以降、原作であるムービックさんは、ものすごく「ツキステ。」に力を入れてくれているので、おそらく2.5次元に興味のない原作ファンはヤキモキしているとは思うのですが、公式としてはこの形で、ツキウタ。よりも先行して声優ライブなどで大成功しているラブ○イブやう○プリなどの作品との差別化を図りたいのかな〜とも感じています。*10
正直、私はハマりすぎていて、キャラと俳優さんを混同しすぎてるかなと心配になることもあるんですけど、*11それでも私はツキウタ。はもちろん、ツキステ。を見守っていきたいと思っています。
とにかくツキステ。はいいぞ!!!(言ってみたかったやつ
余談の余談:ツキステ。にハマってから2.5次元舞台への認識が少し改まった話
2.5舞台とオリジナル舞台の役作りはそもそもアプローチが違うと思っています。
2.5次元は簡単に言ってしまえば、見本がすぐそこ(原作)にあるわけで、ある程度似てる人がそもそも選ばれ、ある程度似せればそれでいい。ただし、原作ファンの厳しい目もあるから多分、与えられたキャタクタービジュアルやボイスサンプルしか参考にしてない人と、公式のありとあらゆる資料を読み込む人の差は当然出てくるから、それがのちの人気に繋がったりもするでしょう。
若手俳優が2.5次元舞台期間中にSNSが成り切りキャラクターbot化する現象を私は、ツキウタ。にハマるまでは失笑していたというか、若干バカにしていたんですけど、要するに器用さがあるとより良いって印象ですね。
ただ未だに中学生くらいの設定のスポーツ物やファンタジー物の2.5キャラをやってる半bot化した俳優さんが毎朝スタバ行くとかは確実に失笑しちゃうので、そういう意味ではそもそもアイドル(芸能人)なツキウタ。はSNS芸初心者にも優しいなと。。芸能人の彼らの日常はアイドルのグラビ、プロセラでもあり得る日常なのでなりきりセリフと日常が混ざっても違和感が少ないのです。しかし若手俳優スタバ行きすぎだよな。。
ツキステ。の場合、アニメ化は夏からなので春の第1幕時点では本当に2.5なら当然あるキャラクター作りのための文字資料、ビジュアル資料、動きの資料がない状態で、彼らはじくさんのイラストと公式のCD、ssなどのテキストからそのキャラクターを作ったのだと思うので、ここについては2.5次元の役作りとオリジナル脚本の役作り、二つの要素があったかもしれないと、そのあたりいつか詳しく聞いてみたいなと思っています。
ツキステ。の役作りだけが大変とか言うつもりはなくて、むしろ、彼らの努力を感じたことで、他の2.5舞台においても、若い俳優さんたちは彼らなりに役や舞台に取り組んでいるんだろうなぁと思った私です。
ツキステ。にハマった後で認識が変わったことは他にもあるのでまた別に書きたいなと思います。
*1:個性がバラバラな男たちが全員同じ好みなのがまず違和感。しかもアイドルなどの職業者の場合、仕事をしている現場で全員が恋愛第一みたいになってるのも苦手。乙女ゲームはゲームでプレイするときは落とすと決めた男の子ごとのパラレルワールドで、少女漫画的な展開を楽しむならアリですが、作品をアニメや漫画、実写に落とし込むときに逆ハーレムになるのが本当に辛い
*2:ラケットのミュージカルを筆頭に2.5次元ヒット作に長期拘束されて、他の舞台などでじっくりと俳優の芝居を観れなくなるのはなぁ〜って思ったりもすることが私は多いです
*3:脚本は原作者書き下ろしだから当然といえば当然
*4:黒年少の如月恋くん役の横尾くんが最年長で、さらに彼はダンサーなので12人で一番ダンススキルも高く完成されています。
*5:白年長は隼役の友常勇気くんを筆頭に割と年齢及びキャリア順の構成。特に白年少は見た目はそっくりだけど俳優経験が浅いのも役に合ってて面白い人材を見つけたなぁという印象
*6:ツキステ用語であるところの、いわゆる「中の人」のこと
*7:私の好きな俳優が、自分はよく知らない原作の舞台に出演してそういう演出されたら間違えなく凹む気がするんですが、私の推しって過去現在に至るまでどう考えても歌が上手いのでそういう場面の想像も難しいので、このあたり元からの古参のキャストさんファンのお話も聞いてみたいところ
*8:個人的に鳥海さんは素敵な声優さんだと思ってるし、なんならツキウタ。にハマる時も、友達から「始さんは鳥さんだし、好きだよ」と言われたくらいで。素のおしゃべりとかも大好きで、楽しいおじさまだと思ってるんですが!!じゃあ、鳥さんが「氷輪紫鬼」をライブ会場で歌ってくれても絶対にそれは鳥さんとしか思えないわけです。。
*9:多分、普段のリアルアイドルの好みからすると、陽くんや葵くんの方が「わかる」「お前好きそうだわ」と言われると思いますし、陽くんっぽい子とか、葵くんみたいに爽やかで可愛いアイドルは、そのままは無理でもそういう要素がある人はいると思う
*10:これらのコンテンツは声優のライブで大成功して、もはや一部のヲタクだけのものじゃないほど大きくなっているのは皆さんもご存知かと
*11:キャスト変更があるとして耐えられるのか、そもそもいつまでツキステ。を続けるのかとか