美しの沼

客席より愛を込めて。

宙組全国ツアー『バレンシアの熱い花』『HOT EYES!!』

秋の宙エリザのチケットにかまけすぎていて、秋冬の星組雪組を取り逃がしまくっていたんですけど、これは取れたので行ってきました。

 

宙組公演 『バレンシアの熱い花』『HOT EYES!!』

11月26日(土)18時開演 神奈川県民ホール公演。

仕事が忙しすぎたり、他の舞台もあったので、メインどころのキャストのみ確認して行ったので、ご当地ジェンヌ少なくてびっくりした。。*1

 

宙組は割と贔屓にしてる桜木みなとさんが今回は全国ツアー組ではないので、*2 シンプルに現役トップスターでは一番好きな朝夏さんを中心に観ました。

とは言うものの、この宙組の全国ツアー、それ以上に「チキチキ次期トップ娘役お試しツアー」な要素がかなりあるので、結局、そこをメインに観てしまっていたような気もするのがつらい。*3

 

ミュージカル・ロマン「バレンシアの熱い花」

宝塚の王道の一つ、愛と復讐のミュージカル。前に大和悠河さんがやってて、それ自体も確か再演だったよなって程度の認識でいたら、パンフに初演「1976年に榛名由梨」って書いてあってヤベェってなりました。失礼いたしました。今回、本当に色々ノーチェックすぎる。

で、観て最初の感想はこの演目、まぁ様(トップスター朝夏まなとさん)と真風(二番手スター)じゃなくて、うららとまどか(宙組の路線娘役二人)ありきで決めたな、宙Pってことだな。

今回のツアーは娘役トップのみりおんこと実咲凜音さんはいないので、まぁ、娘役のお試しもあるのはわかってたけど、思った以上にWヒロインありきなミュージカルで。

 

まぁ様はともかく、二番手スターの真風も売り出したいはずなのに、ラモン・カルドスって役は、かっこよかったけど、そんなにおいしくない役で。むしろ棚ぼただったのはロドリーゴ役のアッキー。ロドリーゴ美味しいよね。ラモンとどっちが二番手かって言われると悩むレベル。

あとはイザベラ(うらら)とマルガリータ(まどか)のWヒロインの脇で、シルヴィア役のららちゃんが地味によかったし、活躍してたね。二人に比べたら華は欠けるかもしれないけど、逆に娘役スターに求められる基本スキルは備えてる様に思うので、いっそららでも良くない??って思ったりしましたね。何がってトップ娘役の話。

 

話があまりにも古典的愛と復讐の物語なので、最後のあのセリフで物語の幕を閉じるのとか、この主役が実はどうしようもない浮気男なのとか含めて、良く言えば大人な味わい深い展開と言えなくもない。。(去年、鬱な気分でその音楽に浸った「パッション」とかも思い出す。大人なラブロマンスの男は絶対にクズな法則)

物語は古いですが、大勢口のダンスは娘役のスパニッシュ系の衣装とか本当に可愛いしオシャレだな〜好きだな〜って思っていたら振り付けはANJU先生(元花組男役トップ安寿ミラなんですね。そりゃかっこいいよ。私、まぁ様にもっとANJU先生の振り付けで踊って欲しいんですけど!!!!!!

役の比重的に政治的なものが見え隠れはしましたけど、それぞれの配役はぴったりで、棚ぼたなところもあるかもしれんけど、アッキーのロドリーゴはすごく素敵だし、フェルナンドのまぁ様はもちろん素敵(だけどダメ男)、でも素敵だからこそ、タイプの違う女性二人が惹かれたのもまぁ、そうなるよねぇというのもわかる。

まぁ様はイケててチャラそうに見えて寂しそうな女が放っておけない男を演じるのがうまいというか、これ天性のものかもしれない。だって、宙組に来てからのまぁ様がまさに周りが放っておけない、だけど確かなリーダーシップと良いお兄ちゃん感を出してくるの。。

御曹司として完璧だからマルガリータみたいな良い婚約者もいて、彼女のことも純粋に可愛いと思ってるけど、復讐だったり家のことだったり、完璧すぎる男にのしかかるものをどこかに放出したい、そんな時イザベラみたいな女が必要なんだろうなぁって古き良き正妻と愛人の物語です。初演の昭和にはスペインじゃなくて、神戸や京都に転がってた実話でありそうな話。

ここでイザベラと結ばれるみたいな展開だったら流石にドン引きだったので、ラストの「イザベラも死んだ」は割としっくりきたし、この終わり方だったから大人なラブストーリーとして再演されてきたのかなとも思ったりもしました。

あとは、ルカノール公爵側の宙組の中堅男役たちはうまいしかっこいいよ!!!!!

誰見たらいいのかわからんくらいに!! 

 

ダイナミック・ショー HOT EYES!!

いやぁ、こんなに全ツ向きな演目だったのか!!!!!!!!!

大劇場では嫌いじゃないけど、駄作って思ってたんです、このショー。何しろ最初から「全場大階段」を使った全く新しいショーですなんていう、余計なコンセプトを作ってしまったばっかりに、ただ単に演出を放棄しているようにしか見えない(セット転換がない)、もっと空間を広く使って踊って欲しい場面も大階段が出っぱなしだから狭い、知名度のある歌謡曲メインの中詰めはキー的な問題と客席の拍手でスターの歌を楽しめない。

場面場面で好きなところもあったし、主題歌も嫌いじゃなかったけどどう考えてもいいショーだとは思えなかったんですけど、全ツでこれをやると聞いて。

あ、全ツならいいかも。と多少は期待をしていたんですけど、予想以上に楽しかった。

大階段がそもそもないので小さい階段などで再編した新セット。シンプルながら、大劇場より板をつぶさないし、場面転換がほぼない分、ノンストップで楽しい。

謡曲メドレーの中詰めも問題は変わってないけど、大劇場じゃなくって、地方で見る全ツは宝塚慣れしていない人が楽しめるのが一番。神奈川ですらこの盛り上がり。もっと地方ではさぞかし盛り上がってるでしょう。

 

まぁ様のダンスがかっこいいとか、今回の全ツ、真風とアッキーはちょっと歌弱いんだよなぁとか思うところは色々あるけど、それ以上に本公演ではトップ娘役のみりおんがやっていたポジションを誰がやるのかと思っていたのだけど、本当に面白かった。

オープニングこそ、うららだったけど、あとは割とまどかでしたね。いや、まぁ、うらら歌えないからなんですけども。

 

 

トップ娘役の話になると、私はダンスや芝居が本当にうまい人なら時々音痴のスターがいても良いというか仕方ないとは思っているんですけど*4、 それにしても、やっぱりトップ娘役が裏声で歌えないのは論外だと思っていたので、うららのトップは反対ではあるんですけど(うららは、元雪組のせしるさんみたいに美味しい美貌の別格娘役として君臨したらいいじゃないと思っていた)、今回、見事に

  • うららに裏声では歌わせない(ほぼ歌ソロは地声歌唱)
  • 踊りながら歌う、裏声が必要な部分などは全部まどかやらせーこやらが担当

ということを完全に貫いてくださったことで、ちゃんと楽しかったし、うらら、見た目はやっぱり抜群に美しいんだよなぁと正直見惚れました。

 

まどかがまだ若いですし、宙にはせーこを筆頭に歌えるベテラン、中堅娘役もたくさんいるので、うららがトップになることで、彼女たちの歌う場面が増えるならそれはそれでいいのかなぁなんて、あれだけうららトップは嫌って思ってたのに、ちょっとこう言う感じで短期ならアリかなぁと思っちゃう自分もいました。

 

でも、うららトップ=海外ミュージカルはまずもってない、のが辛いところ。

やっぱり歌える娘役がトップがいいとは思うんですけど、組み替えないってことはそういうことなんだよねぇぇ。

 

*1:宝塚の全国ツアーではカーテンコールで会場となるその県出身のタカラジェンヌがトップスターさんから紹介されます。神奈川県は普段、たくさんいることのが多いのに、今回はまさかの1人

*2:宝塚は全国ツアーや小劇場での公演は組子が二手に分かれます

*3:宙組は次の公演でトップ娘役の退団が決まっており、今回はトップスターとトップ娘役が分かれての公演でした

*4:例えば私にとって風花舞さんは好きなトップ娘役の一人です。