美しの沼

客席より愛を込めて。

朝からの贅沢:恋の遠心力

朝劇 西新宿「恋の遠心力」を観てきました。

朝劇 西新宿 | MAKE YOUR DAY

 

恥ずかしながら、朝劇ってほとんどよくわかってなかったんですよ。

朝劇ってなに!?ってところから色々調べたら周りで観てる人もいたし、結構知ってる人も出ていたので、本当にスルーしていたんだなぁ。(とにかく朝に弱い

 

「朝劇」はその名の通り、まさに朝に上演されている演劇。だいたい平日(水曜が多いようです)の朝7時30分や、日曜の9時から上演されてます。本当に早い。。

「朝劇 丸の内」からスタートして、今は私が観に行った西新宿以外にも渋谷や下北沢でも違うメンバー、演目で行われているようです。他の作品も気になる。。おすすめあったら誰か教えてほしい。

 

チケット代金は2,500円なんですけど、そこに約45分のお芝居はもちろん朝食、ドリンク(好きなドリンクチョイス可能)も含まれています。ちなみに朝食の内容はコーンポタージュ・胚芽ロール×2・生ハムサラダ・ポルペッラのトマト煮込み・ヨーグルト ベリーソース)。

つまりべらぼうに安いです。びっくりです。

 

作品情報

朝劇 西新宿「恋の遠心力」12月18日(日)9時00分開演

出演:太田希望、橘輝、大野清志、森谷勇太、鎌田亜由美、野村龍一

ゲスト:内藤大希

 

要するにゲスト目当てですw

ゲストが発表された時にたまたまTwitterのTLにいたのでチケットが取れました。ゲスト発表前からチケットは売られていてゲスト枠用に追加販売されましたけど結構瞬殺で。当日も当然満席でしたが、ぶっちゃけいつも見かける顔をあまり見なかったので本当にラッキーでした。

ロングランで上演されているので、レギュラーキャストも公演日によって数名違ったりします。レギュラーの出演者の中には、スタジオライフの船戸さんだったり、あとは塩口量平さんもいるようなので、正直、ゲストとか関係なくまた観たい。これは役者が一人変わるだけでかなり印象が違う作品だと思います。

 

あらすじ
この瀟洒なカフェは、巨大な“宇宙エレベーター”の中にある。現在、地表に向かって下降中だ。
五ヶ月間、宇宙空間で過ごした日々も今日で終わり。大勢の乗客たちが、お別れパーティに興じている。
だが、若き研究者、伊吹だけは地球に帰りたくなかった。彼は恋をしてしまったのだ、エレベーターのクルーである、アンドロイドに…!
研究者、アンドロイド、医者、芸術家、パイロットたちが、叶わぬ恋を巡って大騒動。
“恋の遠心力”を打ち破ることはできるのか!? 

 

感想

会場は西新宿のレストランバー『GLASS DANCE新宿店』。新宿のオフィスビルの地下のビアレストランです。雰囲気ももっと朝っぽいカフェかとおもいきや、思いっきりバーでしたが、それをものすごく上手く使っていました。最初と最後に店のあるものを使ってるんですけど、それがすごく面白いなと。ここだけはネタバレしないでおきます。

 

女性2人、男性4人の1シチュエーション(物語では宇宙エレベータースペースシャトルのようなものの中のカフェ)での人物たちの会話がメインです。

会場のバーがのカウンターが「コの字」型のような形で、私は割と遅めに着いたこともあったので、最初から明らかに正面じゃない、カウンターの端に近い見切れな席だったのですが、全然問題なく楽しめました。強いて言えばゲストは遠かったけどもw

ある程度、座席の多いバーの向かい側を正面に演出はされているんですけど、バーカウンターを見事に芝居の中で使うので、カウンターの横から見ていると、会話劇の醍醐味、バーの外と中で話してるときに二人の顔が横から見れるんですけど、それがなかなか面白い。これ、たぶん、正面からカウンターの完全に外側から観ると、印象が違うんじゃないかと思います。

7時半開演のときに8時半までに終わるように(9時出社に間に合うように設計していると思われる)という時間の制約のなかで、約45分で作られているので、あっという間です。本当に中だるみがなくずっと芝居が続きます。

もし注文をつけるなら、すっごく面白い設定の芝居なのに、45分ではその設定の本当に表面の部分しか使っていないんですね。長尺で普通に2時間、3時間の芝居に仕立てられるだけの世界観があると思うのですけど、一方で45分なので全く飽きずに圧倒されて観ることができるという部分も感じる。会話劇のなかで、「宇宙エレベーター」の中にいることだとか、その近未来の設定を理解させていく脚本の力はすごいけど、本当に壮大な設定でもあるので芝居はもちろん、小説や漫画にしてくれても読みたいくらいでした。

個人的には45分できちんとドラマが展開して、ちゃんと結末があるのが素晴らしいとは思うので、同じこの宇宙エレベーターの中の別の視点だったり、全く違う人たちの話というのを「朝劇」で観たいです。

 

芝居以外で唯一気になったことは、役者と(常連)客の距離感かな。

キャパが超狭いなかでロングラン公演なので、本当に客席の半分くらいは常連だったみたいで。だから笑いが前のめりなんですよね。内輪ネタでは決してないのに、たぶんいつもと違うから笑うとか、ここ面白いところだぞって空気で笑うとかそういうのが少人数の客席なのに結構あって。本当に面白いから観てる間はあまり気にならなかったんですけど、終演後、キャストさんが客席に来てくれて直接感想が言えるので、私も主宰の野村さんには感想を伝えることができて、それはすごく良かったんですけど、そのあとの流れを観てるとやっぱり役者と客がすっごい距離が近い人が多くて。

それが好きで劇団や小劇場の俳優が好きな人も多いと思うんですけど、私はそれはたまにすごく微妙な気持ちになるので、やっぱり好きな俳優やタレントには客と距離を持ってほしいなって思ったりもしちゃう派です。ただし、これは完全に私の個人の考えで、距離をつめないとチケットが売れないとかファンサービスの問題はつきないと思いますし、芝居そのものはとってもおすすめです。

 

ゲストのこと

落ち担当でしたw 面白かったですけど、出演時間は1-2分かな。今回は前の週と二回ゲスト出演だったのですが、どうやら違うことをしたようです。

これ推しにしか興味ない人だとふざけんなって思うかもしれないけど、私が見かけた同厨の人たちは基本的に演劇好きな人が多くて、私と同じく、作品に満足してるっぽかったです。

結構、ゲストからレギュラーメンバーになってる人がいるので、もしや内藤くんも、、なんて期待したくなる。すごく好きな芝居だったので、これに出てる内藤くんすごく観たいなぁ。何役かって言われると悩ましいんですけど。

 

面白い仕組み

挨拶で、これから別舞台で本番ですって言ってる役者さんもいて、驚くとともにすごく納得したんですけど、これ余裕で掛け持ち出演可能ですよね。それがすごくいいなと。

朝劇のギャラがどの程度かはもちろん分からないし、体力的に1日1公演で死にそうになる作品をやってるような役者さんやテレビなどのメディア仕事もある人はもちろん無理なんですけど、とりあえず都内の劇団/小劇場を中心に活動してる人たちの芝居の仕事の場が増えるという意味ですごくいいですよね。

何ならバーやカフェを会場に使ってるので、受付スタッフや朝劇のときのバイトスタッフをそれこそその劇団の若手でまかなえそうなのもいいよなと(これは単に想像で実際のところは知らないですけども。固定メニューの提供や客の受付のスタッフはバーの社員を全部使ってるわけじゃないよなぁと思ったり)。何も関係ない居酒屋でバイトするより勉強になりますし。

今回、私が観た「朝劇 西新宿 恋の遠心力」は非常にレベルの高い、良い芝居でしたけども、同じような形でより若手や経験の浅いメンバーが土日の朝からちょっとした軽食付きで新人公演とかするとかもある程度メンバーを抱える劇団や芸能事務所の舞台だったらやっても面白いかもな、なんてそんなことまで考える機会になりました。

 

 

朝劇のカーテンコールは「おはようございます」 で挨拶が始まり「行ってらっしゃい」で終わります。

開場を出てもまだ10時すぎ。普段の日曜だと寝てる日もあります。

早起きって本当に得だなぁと思う素晴らしい贅沢な時間です。

(なお、この日、内藤くんの年明け最初のイベントのチケ発売が10時と10時30分からあったため、すがすがしい朝を満喫しきれなかったのは恨む)