読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

美しの沼

客席より愛を込めて。

役者ファンと芝居を殺すメガネ:3D演出の舞台を初めて観た話。

舞台感想

いろいろ観てるんですけど、まとめるのに時間かかって下書きが溜まるたまるw

このブログで初の全く持って自分には刺さらなかった舞台の話になっちゃうので、一応タイトルに作品名入れるのはやめました。でもこの後もつまらなかった舞台の話がけっこうあるんだけどどうしよう。

あと記事連投したので、一つ前に、ちょっとした雑談もアップしました。私のヲタクスタンスにも近いかな。きになるという奇特な方のみチェックしていただいても構いませんw 

 

観劇のきっかけ

元々、ペルソナシリーズとか攻殻機動隊とかでそういう演出をやってるとは聞いていたので一度くらいは観ておきたいなぁと思っていた3D演出の舞台。

今回観たのは、原作はゲームの2.5次元ミュージカル。作品名は知ってるけど、ゲームはやったことがなくて、宣伝番組がいつも推しがお世話になってる某ニコ生の番組でやってたので、そちらはアーカイブで見て、公式サイトも確認。設定と、各キャラのビジュアル、キャラ紹介や声優さんを見てなんとなくイメージは持った程度で観劇しました。

ちなみに演者側は、特定の推しはいないけど、メインキャストや、アンサンブルキャストにも知った名前があったので*1、割と好意的な印象です。

 

原作ファンなら楽しいのかも〜自分はこの舞台の客ではなかった

正直、私には全く合わなかったです。舞台としては非常に退屈。

ただ、Twitterなどで好評な声も見かけたので、新しいタイプの「お芝居(舞台)」として観に行った私には合わなかったけど、おそらく原作(ゲーム)のファンなら原作の新しい楽しみ方として、面白いと思うポイントはあるかもしれないと感じました。

少なくともキャラクターのビジュアルや衣装の再現度などは他の2.5と遜色ないというかクオリティは高いように思いました。ファンタジーもので武器なども出てくるのですが、極端に安っぽく見えるものはなかったように思う。

ミュージカルと言ってるだけあって楽曲は舞台オリジナルなのか原作で使われているものもあるのかわかりませんが、綺麗なものもあり、アンサンブルキャストや脇に、本格ミュージカルもできる人を配置しているので、全員で歌う楽曲などは歌声にかなり厚みがあり聞き応えがあった。正直、全員曲(アンサンブルに千田さんいる安心感)RiRiKAさんの歌だけならもう一度聞きたい&観たいです。メインキャストの学生キャラの楽曲のダンスなんかもキャッチーで良かったです。

 

要するに原作ゲームファンできっかけがなければ劇場で芝居を観ないような人のための舞台で、私はそもそも主催が想定している「客」ではなかったんだろうなというのが今回のまとめです。

 

演出を殺す3D映像

3D映像で表現するのは、主に背景、それから3D出演の人物、そして今回の舞台で一番意味があるとしたら空想上の生き物(倒さなきゃいけない敵モンスター)。

少なくとも、最後の一つ以外は一切、3Dである意味を見いだせない。むしろ全て背景の白スクリーンに映すために、シーンごとにキャストは袖に退場、暗転の後、次の背景映像が映し出されたらキャストが袖から出てきてまた芝居が始まるという流れが最初から最後までずっと続くのです。演出家死んだのか!?って思うレベルでした。

これが数回続いた時に私のこの舞台への集中力が完全に途切れたことをおしらせします。

舞台演劇の面白さって、劇場の何もない板が、どの時代にも朝にも夜にも平和な家庭にも殺人事件の現場にも、何にでもなれる、それが魅力だと思うんです。もちろん、演者や制作側だけのルールでどんどん違う場所になったら、観ている側には伝わらない。そのために、セットや小道具があり、照明の演出があり、説明のセリフがあり、役者が移動したことを表すために板の上を歩いたり、その場にふさわしい音楽が鳴ったりすることもある。

映像の演出が加わることで、これまでなかなか舞台演劇で描けなかった(描いた舞台はもちろんあったが芝居と演出の限界を感じるものも多数あったはず)壮大なSFやファンタジーものができるというのは一つの魅力です。でも、この舞台の一つひとつの場面の背景が変わっていく度に、原作ゲームをやっていない私にも、「これはおそらく原作のゲームと同じかそれに限りなく近い背景映像なんだろうな」とわかる映像に切り替え、その映像の切り替えのためだけに役者が舞台袖にはけて、その数秒後にすぐに出てくる。。

正直、最近減ってきた大劇場の大型セットを転換する時間のためのカーテン前芝居よりひどいと思う。

役者の立ち位置や袖からの出入りが全て映像の切り替えや映像に合わせてなので、そこに意味のある暗転や間という感じはないし、袖の出入りに当たって、その役者が演じているキャラクターならこう動くだろうとか、舞台ならではの時間や場所の転換も感じられない。

 

これは一体なんなんだと思っていたけど、途中で気づきました。すごく映像的なんです。ドラマ、映画の撮影ならきっと当たり前の現象が板の上で起きている感じ。「カット!」がかかり、次の場面のセットや場所にキャストは移り、「移動してきたかのような感じで」歩いてきたキャストを撮影する。それなら全然、問題ない。

しかもキャラクターもゲームのメインキャラクターの出番が交代で見せ場がある形で進んでいく。これも何か既視感あるなと思ったんだけど、アニメのいわゆるキャラクターのお当番回です。

 

だけど、そこは同じ板の上なんで。ドラマやアニメを板の上でやられても困る。。

 

ついでに唯一、3Dの意味があるだろうと思われる敵(モンスター)も結局、何と闘っているかは明確だけど、その敵は常に役者の後ろにいるんです。結局、正面に向かって決めポーズの攻撃と、映像に向かっての攻撃の2パターンになってしまうので、いわゆる人同士の殺陣の舞台ほどのアクションの激しさ、面白さも失われてしまう。

 

私がこの舞台の3D映像で唯一楽しかったのは、ラストにヒロインのアニソン歌手の方によるLIVEシーンです。こういうのは長いと絶対に酔うけど、3Dならではな特攻だなと面白く観ました。

 

役者ファンを殺すメガネ

私、そもそも映画ですら、3D映像による派手な演出は確かに迫力があるけど、どうしても役者そのものの鮮明さが失われているように思うので、そこまで好きではないのです。

だって、どう考えたって、黒い3Dメガネをかけることで、紗がかかったようになります。何もない状態で役者を見るより、ぼやけるわけです。今回も何度かメガネを外したりしました。背景は二重三重のような形になりますが、当然役者は自分の目ではっきりと見える。

 

そこで、前述した演出の意図と「主催が想定している客」の話に戻る。

私は芝居を観に来た以上は演技をしている役者が見たいです。

役者がどういう芝居をそこでしているのか、どんな風に踊っているのかを観るときに、3Dメガネは明らかに邪魔です。

演出を、3D映像によって再現された原作ゲームの背景の前で動き出すキャラクターを見せたい、それが主催及び演出家の意図で、役者個人の細かい芝居のこだわりが多少見えづらくても構わないということであれば、やっぱり私はこの舞台にとっては招かれざる客なのかなぁと、そんなことを思いながら、ウィッグをかぶりカラコンをして、キャラクターになりきっている役者を見ながら、前後左右誰もいない座席で思っていました。

 

そもそも3Dメガネをかけると双眼鏡を使うということができないんですよね。

キャパ400超えたら、複数回しかも後列で入る時は双眼鏡持参したい系のヲタクはもうその時点で殺されたようなものだった。 

 

舞台における映像演出

映画館のように3Dメガネをかける演出の舞台を観たのは今回が初めてだけど、例えば、一部、背景に映像を映す手法の舞台だとか、プロジェクションマッピング(一部利用から、完全にセットが真っ白で全てに使われるものまで)の舞台は何度か観たことがあります。それらの演出と比較して、3D映像はメガネをかける上に、目が疲れるというデメリットがあり、積極的に舞台演出に取り入れたい映像演出ではないと感じる。

個人的にはプロジェクションマッピングについてはサイド席の映像とセットのズレを工夫が必要という課題はまだあるけど、宮本亜門演出の「メリリー・ウィー・ロール・アロング」や「愛の唄を歌おう」での演出は印象に残っている。

昨今、新しくできる劇場は大規模劇場でもせりや盆がないものも多く、巨大なセットを組むという考えがなくなってきているようなので(組める劇場、演目はこれからもぜひ!!!いいセットを組んでほしいのだけど!)*2、そういう中で、場面転換の多い、エンタメ性の高い作品なんかではプロジェクションマッピングの手法はありというのが私の印象。

映像で言えば、「銀英伝」シリーズや「デスノート THE MUSICAL」なんかではセットもあった上で、人物映像なども用いていたけれど、時代設定が現代だったり未来(SF)などの場合、映像がある世界を舞台で描くことになるので、映像を利用するのは当然なのだけど、例えば銀英伝を3Dにする必要があるかと言われると、映像の演出で十分だったと思う。

 

 

結局、この舞台が目指すところは、おそらく原作ファンの「(初めての)演劇体験」を成功させ、今後も舞台って楽しいんだって思ってもらうことと、演劇ファンの「3D演出って新しい!こういう舞台もありだな!!」って思ってもらうことで、作品の口コミやリピーターを増やし、同シリーズ(同作品だったり、同じ主催の舞台)のますますの発展ってところだと思うんだけど、少なくとも私には刺さらなかったし、空席はなかなかのものだったので(前後左右に人がいなかった時点でお察しください)、試みとしてはいいんだけど、もう少し考えていただきたいなぁと。

少なくとも私は今回の出演者に内容に関係なく前売りチケットを複数枚買うような好きなや役者がいたらかなり辛いなと感じたので。

 

 

ちなみに今回の舞台の製作陣について最後にホームページを確認。

演出は奥秀太郎氏、これまでの3Dミュージカルもこの人なんですね。公式サイト確認したら、映像の仕事をたくさんやってる人でやっぱりなぁという感じ。これ、実写映画やアニメだったらそこそこ面白いかもなぁと思う部分がたくさんあったので。

ウェブで確認した彼の舞台演出作品の中だと、「Blood-C The LAST MIND」は観たことがあった。これはそこまで悪くない2.5だったと思うんだけどなぁ。映像演出と舞台の演出の融合が図られていたと言う記憶。

そして、脚本の井上美緒氏もまた、テレビアニメの仕事がメインの人だ。 

別に映像の人が舞台の仕事をするなとも思わない。両方で成功してる人もいるし。ただ、アニメの脚本と演出をそのまま切り取られた板の上でやっても、それじゃぁ意味がないわけで。今回の作品については例えば、人気ゲーム作品を「公式の3D映像と合わせて実写映画化!」みたいなものだったら、もちろん予算の問題などはあるにしても、きっと面白くなったのではないかと思う。

 

 

余談

そういや、友常くんが今回、割とダンスシーンで上手固定だったんだけど、私は下手で残念だなぁと思っていたら、カーテンコールで友常くんが手を振った瞬間、上手前方の客もわらわらと手を振っていたので、ヲタク強ぃって思いました。あれ、FC枠とかでちゃんと上手のチケットがファンに配券されていたんだろうか。。 

中日くらいに観に行ったのだけどヲタクがきっちり立ち位置で入ってるならそれはすごいし、そうじゃなくて、あの舞台で自分の目の前の客をきっちり落としたのだとしたらそれはそれですごいよなという感想。

*1:友常くんにRiRiKAさん他にも何人か、それからサンボに千田さんがいたのが私的には一番のポイントだった

*2:レミゼラブル」「ミスサイゴン」などの歴史あるグランドミュージカルでさえ新演出版ではセット規模に関しては縮小している。これは多分予算及びワールドツアーができるようになどの事情もある