雪組『私立探偵ケイレブ・ハント』『Greatest HITS!』
今年の宝塚おさめは雪組の本公演です。現役タカラジェンヌではだいもんの歌が一番好きだから大好きな歌で気持ちよく宝塚おさめできて幸せです。
ちなみに芳雄くんとだいもんが好きな私は今年のディズニーコン@大阪は最高にハッピーでした。だいもん、来年はおそらくトップスターになると思うので、次に共演があるとしたら退団後とかになっちゃうかなとかそんなことまで考えちゃうけど、ますますのご活躍を期待しています。
ミュージカル・ロマン『私立探偵ケイレブ・ハント』
正塚先生らしい作品。正直、派手さはないです。
もともとミステリとか探偵ものが好きな私としては、事件の展開そのものは、全く予想外なことが起きないので物足りなさもあるものの、肩の凝らないチームもの、正塚先生と言えばなスーツとソフト帽!を堪能できて名作とは言えないけど、割と好きな作品。
役は下級生全部にまで出番があるほど多くはないけど、路線キャストはそこそこ見せ場があり、芝居を見てるうちに、この脚本の「前後」の話が知りたくなるようなそんな味わいのある芝居。雪組の中堅〜路線スターが好きな人なら通うと楽しいんじゃないかなぁという印象です。
一年中、海外ミュージカルってわけにもいかないし(ショーも見たいし)、名作と言われても、毎回ウエクミ先生の作品で大号泣もしたくないわけで(ウエクミ先生の作品は好きですよ)、結構好きな、そして今勢いのある雪組でこう言う作品が観れたのはいいなぁと思うわけです。
スターのピラミッドがしっかりしていない、トップコンビの相性が悪い組でこう言う作品やったら確実に駄作認定だとは思うんですけど、後述しますが、上から下までの組子のまとまりがあると味わい深い作品です。
雪組は私が好きなだいもん(望海風斗)がいるので、まずはそこから。今回は久しぶりに主役と一切対立しない、白くて(クリーンで)可愛い役でした。
主人公のケイレブの相棒ということで同じ探偵でも気持ちで動く身軽なケイレブとは違う、どうも頭脳派っぽいジム。最初こそ、黒くないだいもんが久しぶりすぎて、悪い社長風に見えましたけど、お芝居を見てるうちに、可愛いワンコに見えてくるという。。
お芝居や衣装、すべてがおしゃれで可愛いんですよ。これは通ったらお芝居のいろんなところが見えてまた違った楽しみができるんだろうなぁと通えていない身でギリギリとしましたw
歌えば当たり前の美声ですし。お芝居ではラスボスソロとかではなく、探偵仲間たちと一緒に歌う感じでしたが、だいもんと歌うと咲ちゃんとか、一緒に歌ってる人も上手く聞こえるのはすごいなぁ。
他のキャストで今回は目立ったのは、やっぱりれいこちゃん(月城かなと)。彼女は正統派二枚目だし、悪役がかっこいい。今回、ショーではエトワールでしたが、歌も以前より上手くなったような気がします。彼女は日本モノが好きと公言している二枚目スターなので、組み替えで雪組を出るのはもったいなく思うんですけど、どうしても真面目、爽やかな正統派から抜け出し切れない部分もあるので、月組で個性を磨いてほしいです。個人的に95期はずんちゃんとれいこちゃんが好きなので応援してます。
彩彩(彩風、彩凪)はもちろん与えられた仕事はしてたけど、特に生三番手なはずなのに咲ちゃんはあんまり印象に残らなかったなぁ。翔くんのがまだこんなかっこいいのにちょっと頼りない刑事いるの!ってなったかな。
そして、やっぱりがおり(香綾しずる)はうまい。典型的な宝塚の謎の男で最初から最後まで無表情で言葉も少ない男。話のキーパーソンなんだけど、いなくても物語は進む。そういう役って下手な人がやると本当に浮いて作品を台無しにしちゃうと思うのだけど、がおりがやると、あー宝塚あるあるの昔因縁のある男来たわあああってなるし、話が台無しどころかしまる。彼女みたいな人がスターとしていると作品を観る楽しみが増えるよね。もっともっと活躍してほしいです。
スターさん以外だと、探偵事務所組の細かい芝居がとってもおしゃれ。コーヒーメーカーにこだわるコートニーさん(早花まこ)やひっそりジムを名前呼びしたいダドリー(真那春人)たちのちょっとしたシーンの芝居が粋で、多分事務所組の芝居がなかったり、クスりと笑わせる芝居になっていなかったら(過剰だったら)、この芝居は完全に駄作だったと思うし、そういう芝居ができる人がいると正塚先生のお芝居って楽しいんじゃないかなっていう印象です。
主役のちぎみゆはもちろん可愛かった。本当にこのままこの二人でアメリカンドラマで探偵物やって欲しい。
ショーグルーヴ『Greatest HITS!』
宙組公演 『双頭の鷲』
その舞台上には美しいものしかありませんでした。
Musical 『双頭の鷲』~ジャン・コクトー「双頭の鷲」 より~
原作:“L’AIGLE A DEUX TETES” by Jean COCTEAU 脚本・演出:植田 景子
会場:KAAT神奈川芸術劇場
主演:(専科)轟 悠、(宙組)実咲 凜音
公演解説 | 宙組公演 『双頭の鷲』 | 宝塚歌劇公式ホームページ
ミュージカル好き、宝塚好きなら知らない人はいないのではと思われる「エリザベート」はオーストリア皇后のエリザベートの生涯を元に創作されたウィーン発のミュージカルですが、この「双頭の鷲」もフランスの劇作家ジャン・コクトー(Jean Cocteau)がエリザベート暗殺事件を元に創作された芝居。
双頭の鷲という名前からして、ハプスブルク家のことかなという印象で、つまりはミュージカルのエリザにおけるトート(死、そして愛と自由を含めたこの作品のテーマを具現化したキャラクター)がいなくてエリザとルキーニに因縁があったように描いた作品ということかなと思っていたら、エリザベートとルキーニっぽいキャラクターの全く別の物語でした。双頭の鷲も暗にハプスブルク家を現しているところもあるだろうけど、むしろ決して離れられない二人をイメージして付けられたタイトル。
全体の印象
古典とまでは言えないが1940年代のフランスの芝居、しかも元々の登場人物は6人ということで、前情報だけだと宝塚で21人のミュージカルにして大丈夫なのかと思っていたけど、これがまぁ、むしろ宝塚のためのような作品だった。
話がそもそも宝塚および塚ヲタが大好きな愛と死をメインにした筋書きで、冷静に思い返すと、基本的な流れは荒唐無稽というか突っ込みどころが多すぎる。
でもこれは植田先生の演出とか訳のせいではなく、おそらくは元々の戯曲通りなのではないかと思われる。「エリザベート」っぽい状況の王妃と王妃を殺そうとする暗殺者の二人の物語ではあるけど、冒頭でこれは虚構であると言い切るのです。ストーリーテラーの口からハプスブルク家のルートヴィッヒやらルドルフやらモデルのエリザベートの名前も出てくる中で、彼らと同じようにまるでフィクションの不幸な王妃(最後まで名前はない)が現れる。みんな、これを見たらモデルはわかってるだろうからそれ以上の細かい部分なんていいだろう?っていう脚本自体から軽薄さすら感じられるのだけど、要するに「そういうスタンス」で作られたんじゃないかと思う。
よくよく話を聞いていても、この王妃は10年前、めでたい婚礼の日、愛する未来の夫が暗殺され、婚礼の儀式を待たずして未亡人になっている。そもそもその時点で王妃は王妃なのか?とか、王妃と王太后らの一派が対立したまま10年ってその国大丈夫なのかよとか言いたいことはたくさんあるけど、観てる間はそんなことはフィクションでファンタジーなので気にならないというか気にしません。
本筋に登場する人物は原作の6人のみで、そのほかの人物はストーリーテラー、そして物語の行方を観る傍観者として、彼らは時には美しいコーラスを奏で、踊るが、基本的に物語に関与しない。これについて、やっぱり宝塚の組子のファンは賛否両論なようで、その気持ちはわかる。もっと出番を!贔屓にセリフがない!!おそらくそういう気持ちもあるんじゃないかと思うが、傍観者がいることで、常に人に見られ噂されている「王妃」の緊張感や、この舞台の究極な美=虚構であることを際立たせるための仕掛けとしては面白いんじゃないかと思う。
ただし、もう少し人数は絞っても良かったかもしれない。出演者21人。キャストは戯曲の6人とストーリーテラーで7人。それ以外は本当にコーラスワークに必要最小限な人数で役のあるキャストたちにも影コーラスで参加させるくらいすれば、もう少し絞れたかもしれない。
ストーリーテラーは二幕冒頭ではアコーディオンまで抱えて、この舞台はストーリーテラーによる耽美な箱物語とそれを観る人たちでできた作り話だとしっかり認識させる。さすがにストーリーテラーが語りすぎなのではと思う部分もあったが(その他の傍観者パパラッチのSみたいにして代表して語るくらいでもよかったのでは)、それでも舞台は美しい。時に醜悪だったり、悲しかったり、緊迫したりするシーンも全てが美しい。
演出の景子先生の美へのこだわりは時に重すぎると大劇場ものでは結構賛否があるのだけど、小劇場作品ではこだわりが演出、脚本、装置、楽曲のすべてに行き届いている、貫かれているので、宝塚に求めているものの一つ、耽美が全く揺らがない舞台ということで、私はこの舞台、とっても好きです。
元々がそういう戯曲なのに、演出の植田先生の趣味というか美意識全開で、さらにデコラティブというのか美しいセット、衣装、演出だった。その中で演じているキャストたちの芝居は見事で、これがチープだと、せっかく作り上げた耽美が安いものになってしまうので、美しいコーラス、美しいダンス、繊細な芝居によってこの美しい舞台が完成されていたんじゃないかと思う。
芝居に見ごたえがあったから、観終わった直後は(今回の演出で)外部でもこの舞台が観たいと思ったけど、少し冷静に思い返すと、少なくとも『双頭の鷲』を宝塚以外でやるならこの演出は変えないとダメだろうな。この過剰な美はおそらく宝塚だからこそだロウな。
セットがモダンで、ダンスが美しいなぁと思ったらセットは松井るみさん、振付は大石裕香さん。植田先生の美意識を表現するための鉄板の布陣。
割と近い席だったので、パッと見、ちょっと安っぽく見える部分も正直あったのは残念ではあるんだけど、おそらく客席中央のセンターあたりから見た時に、完璧に美しい透明感のある装置になってる。曇りガラスの壁で人物の影を透けさせ、常に人に見られている状況を作り出し、ビニールと白の布で覆われたセットにアンサンブルは全員黒の衣装。それが王妃の覚醒と共に色数が増えるというのもシンプルだけどパッと視線を奪われる。耽美好き女子はこういうの好きです。
キャストについて
スタニスラス役の轟理事。生で観るのは久しぶり。
相変わらずの年齢不詳な彫刻のような美しさ、しかし女性的でも全くない。男役の究極の姿。まさにこの物語では10年前に暗殺された王にそっくり、王妃は王の彫刻にキスをする、、なんて設定があるので、そこはとても良かった。たった三日間で王妃と恋に落ちる、「王族的精神を持つ無政府主義者」と言う不思議な色気と華を持った人物が確かにそこにいる、場作りは見事。
細かいところに目を向けると轟さんは元からちょっと声はこもりがちなので(だからこそ若くして演じたルキーニはハマリ役だったのだと思う)、台詞は聞き取りやすいとは言えない。10年前に亡くなった王とそっくりということであれば、もしかしたら若い俳優が演じてもいい役なんじゃないかとも思ったり。今回は理事によってカンパニーがすごくまとまった部分はあるのだろうけど、いつまでセンター(主役)でいるのかを、劇団はそろそろ議論しても良いのでは。
王妃役のみりおん(実咲)。エリザベートでシシィを演じてからの王妃役。
もともと今っぽさがちょっとないから地味な印象だけど、顔立ちは綺麗なので、轟さんとの並びは予想以上に美しく、この舞台に求められる素晴らしい王妃でした。歌も本当に娘役としては完成された域にあると思う。黒のドレス姿の美しさ、歌声。この双頭の鷲の王妃は、みりおんの代表作と言っても良いのではないか。
芝居はまずは膨大なセリフ量を淀みなく「王妃」として言いきったことはすごい。品もあってよかった。ただ彼女の強いセリフまわしが若干キンキンするところがあるので、それもある意味「王妃」の不安定さ、嵐を喜んでる姿など、私には合っている様に思えたけど、もう少し朗々とセリフが言える娘役が演じればまた違う「王妃」になるかもしれない。
フェーン伯爵の愛ちゃん(愛月)。
とにかく見た目が本当にかっこよくて腰抜けそうになったわ。。あの軍服姿の愛月さんのビジュアルが嫌いな宝塚好き女子はいないと思う。歌もルキーニを経てだいぶマシになった。が、曲そのものがなんというか作品から浮いた印象だったけど、あれは植田先生の演出だったのか、それとも愛ちゃんに歌えるソロ(メロディ)にするための調整だったのか。そこだけが確信を持てなかった。あとは滑舌、もうちょい、セリフの聞き心地がよくなるといいなぁ。
王妃の読書係、エディット役のあおいさん(美風)。
役が少ないので副組長であり、歌も芝居もうまい美風さん。安心して観ていられるけど、さすがに、フェリックス(桜木)の婚約者というのは無理があるのでは。王妃のそばにいながら、王妃の味方ではなく、フェリックスに対してもすごいもの言いをすることからして、なかなか若い子をキャスティングするのは難しいのはわかる。けれど、この役はもう少し若い娘役で観たかった気もします。あおいさんにはパパラッチの中の王太后やコーラスソロをやっていただくのでも良かったと思うけど、どうでしょうか。
亡き王の友人であり、王妃に仕えるフェリックス・ド・ヴァルレンスタイン公爵役はずんちゃん(桜木みなと)。
贔屓ということもありますが、歌もお芝居もすごく丁寧だったように思います。エディットとの芝居はなかなか本公演でも演じられないような設定でのセリフの応酬だと思うし、ソロも非常に難しい音程だったにもかかわらず、耳に優しい歌声。目覚めた王妃に向ける笑顔は本当に彼が王だったら幸せになれるのにと思うし、エディットとの関係、その後のラストの終わり方からして、彼は全く幸せになれないのだけど、ずんちゃんのフェリックスの見た目と芝居のピュアさが、それをより切なくさせる。
ルドルフとフェリックスと立ち位置は違えど王妃に想いをかける純粋な男性が続いたので、ぜひ次は癖のある役でも観てみたいです。
ストーリーテラーの和希くん、ストーリーテラーが必要だったかどうかという議論はあるにしろ、与えられたセリフを、とても聴き心地よく言うことのできる人、さすがです。
そしてセリフはありませんがトニー役の穂稀くん、そしてパパラッチの他のキャストさんも見事でした。パパラッチの中ではメガネのかっこいい人が気になったので、パンフで確認、おそらく七生くん。目を奪われました。
美しいものが観れると思って劇場に足を運んで、本当に板の上に美しいものしかなかった。
フィクションとわかってその美しい箱庭芝居を観る。贅沢な時間。
宙組全国ツアー『バレンシアの熱い花』『HOT EYES!!』
秋の宙エリザのチケットにかまけすぎていて、秋冬の星組や雪組を取り逃がしまくっていたんですけど、これは取れたので行ってきました。
宙組公演 『バレンシアの熱い花』『HOT EYES!!』
11月26日(土)18時開演 神奈川県民ホール公演。
仕事が忙しすぎたり、他の舞台もあったので、メインどころのキャストのみ確認して行ったので、ご当地ジェンヌ少なくてびっくりした。。*1
宙組は割と贔屓にしてる桜木みなとさんが今回は全国ツアー組ではないので、*2 シンプルに現役トップスターでは一番好きな朝夏さんを中心に観ました。
とは言うものの、この宙組の全国ツアー、それ以上に「チキチキ次期トップ娘役お試しツアー」な要素がかなりあるので、結局、そこをメインに観てしまっていたような気もするのがつらい。*3
ミュージカル・ロマン「バレンシアの熱い花」
宝塚の王道の一つ、愛と復讐のミュージカル。前に大和悠河さんがやってて、それ自体も確か再演だったよなって程度の認識でいたら、パンフに初演「1976年に榛名由梨」って書いてあってヤベェってなりました。失礼いたしました。今回、本当に色々ノーチェックすぎる。
で、観て最初の感想はこの演目、まぁ様(トップスター朝夏まなとさん)と真風(二番手スター)じゃなくて、うららとまどか(宙組の路線娘役二人)ありきで決めたな、宙Pってことだな。
今回のツアーは娘役トップのみりおんこと実咲凜音さんはいないので、まぁ、娘役のお試しもあるのはわかってたけど、思った以上にWヒロインありきなミュージカルで。
まぁ様はともかく、二番手スターの真風も売り出したいはずなのに、ラモン・カルドスって役は、かっこよかったけど、そんなにおいしくない役で。むしろ棚ぼただったのはロドリーゴ役のアッキー。ロドリーゴ美味しいよね。ラモンとどっちが二番手かって言われると悩むレベル。
あとはイザベラ(うらら)とマルガリータ(まどか)のWヒロインの脇で、シルヴィア役のららちゃんが地味によかったし、活躍してたね。二人に比べたら華は欠けるかもしれないけど、逆に娘役スターに求められる基本スキルは備えてる様に思うので、いっそららでも良くない??って思ったりしましたね。何がってトップ娘役の話。
話があまりにも古典的愛と復讐の物語なので、最後のあのセリフで物語の幕を閉じるのとか、この主役が実はどうしようもない浮気男なのとか含めて、良く言えば大人な味わい深い展開と言えなくもない。。(去年、鬱な気分でその音楽に浸った「パッション」とかも思い出す。大人なラブロマンスの男は絶対にクズな法則)
物語は古いですが、大勢口のダンスは娘役のスパニッシュ系の衣装とか本当に可愛いしオシャレだな〜好きだな〜って思っていたら振り付けはANJU先生(元花組男役トップ安寿ミラ)なんですね。そりゃかっこいいよ。私、まぁ様にもっとANJU先生の振り付けで踊って欲しいんですけど!!!!!!
役の比重的に政治的なものが見え隠れはしましたけど、それぞれの配役はぴったりで、棚ぼたなところもあるかもしれんけど、アッキーのロドリーゴはすごく素敵だし、フェルナンドのまぁ様はもちろん素敵(だけどダメ男)、でも素敵だからこそ、タイプの違う女性二人が惹かれたのもまぁ、そうなるよねぇというのもわかる。
まぁ様はイケててチャラそうに見えて寂しそうな女が放っておけない男を演じるのがうまいというか、これ天性のものかもしれない。だって、宙組に来てからのまぁ様がまさに周りが放っておけない、だけど確かなリーダーシップと良いお兄ちゃん感を出してくるの。。
御曹司として完璧だからマルガリータみたいな良い婚約者もいて、彼女のことも純粋に可愛いと思ってるけど、復讐だったり家のことだったり、完璧すぎる男にのしかかるものをどこかに放出したい、そんな時イザベラみたいな女が必要なんだろうなぁって古き良き正妻と愛人の物語です。初演の昭和にはスペインじゃなくて、神戸や京都に転がってた実話でありそうな話。
ここでイザベラと結ばれるみたいな展開だったら流石にドン引きだったので、ラストの「イザベラも死んだ」は割としっくりきたし、この終わり方だったから大人なラブストーリーとして再演されてきたのかなとも思ったりもしました。
あとは、ルカノール公爵側の宙組の中堅男役たちはうまいしかっこいいよ!!!!!
誰見たらいいのかわからんくらいに!!
ダイナミック・ショー HOT EYES!!
いやぁ、こんなに全ツ向きな演目だったのか!!!!!!!!!
大劇場では嫌いじゃないけど、駄作って思ってたんです、このショー。何しろ最初から「全場大階段」を使った全く新しいショーですなんていう、余計なコンセプトを作ってしまったばっかりに、ただ単に演出を放棄しているようにしか見えない(セット転換がない)、もっと空間を広く使って踊って欲しい場面も大階段が出っぱなしだから狭い、知名度のある歌謡曲メインの中詰めはキー的な問題と客席の拍手でスターの歌を楽しめない。
場面場面で好きなところもあったし、主題歌も嫌いじゃなかったけどどう考えてもいいショーだとは思えなかったんですけど、全ツでこれをやると聞いて。
あ、全ツならいいかも。と多少は期待をしていたんですけど、予想以上に楽しかった。
大階段がそもそもないので小さい階段などで再編した新セット。シンプルながら、大劇場より板をつぶさないし、場面転換がほぼない分、ノンストップで楽しい。
歌謡曲メドレーの中詰めも問題は変わってないけど、大劇場じゃなくって、地方で見る全ツは宝塚慣れしていない人が楽しめるのが一番。神奈川ですらこの盛り上がり。もっと地方ではさぞかし盛り上がってるでしょう。
まぁ様のダンスがかっこいいとか、今回の全ツ、真風とアッキーはちょっと歌弱いんだよなぁとか思うところは色々あるけど、それ以上に本公演ではトップ娘役のみりおんがやっていたポジションを誰がやるのかと思っていたのだけど、本当に面白かった。
オープニングこそ、うららだったけど、あとは割とまどかでしたね。いや、まぁ、うらら歌えないからなんですけども。
トップ娘役の話になると、私はダンスや芝居が本当にうまい人なら時々音痴のスターがいても良いというか仕方ないとは思っているんですけど*4、 それにしても、やっぱりトップ娘役が裏声で歌えないのは論外だと思っていたので、うららのトップは反対ではあるんですけど(うららは、元雪組のせしるさんみたいに美味しい美貌の別格娘役として君臨したらいいじゃないと思っていた)、今回、見事に
- うららに裏声では歌わせない(ほぼ歌ソロは地声歌唱)
- 踊りながら歌う、裏声が必要な部分などは全部まどかやらせーこやらが担当
ということを完全に貫いてくださったことで、ちゃんと楽しかったし、うらら、見た目はやっぱり抜群に美しいんだよなぁと正直見惚れました。
まどかがまだ若いですし、宙にはせーこを筆頭に歌えるベテラン、中堅娘役もたくさんいるので、うららがトップになることで、彼女たちの歌う場面が増えるならそれはそれでいいのかなぁなんて、あれだけうららトップは嫌って思ってたのに、ちょっとこう言う感じで短期ならアリかなぁと思っちゃう自分もいました。
でも、うららトップ=海外ミュージカルはまずもってない、のが辛いところ。
やっぱり歌える娘役がトップがいいとは思うんですけど、組み替えないってことはそういうことなんだよねぇぇ。